解決!! LaTeX2e - W32TeX/dvioutについての補足と訂正

解決!! LaTeX2e

W32TeX/dvioutについての補足と訂正

dvioutの作者である大島氏より、W32TeXとdvioutについて多くの情報を頂きました。補足・訂正事項としてこちらに掲載させていただきます。

■ 更新履歴

  • [2005/12/06] Tips020Tips324についての説明を改訂。
  • [2005/11/11] 掲載。

■ dviout for Windowsをインストールする(p.40)

dvioutでは一部のメニューなどが英語表記になっていますが……(作者の大島氏の趣味だと思います)。

dvioutは日本語圏以外でも多く使われており、英語の表記は必須です。しかし、日本語と英語のメッセージの両方をメンテナンスするのは手間がかかるため、主に英語のみとしているそうです。

初心者がつまずきそうな部分やHelpメッセージについては、日本語と英語の両方が用意されています。どちらが表示されるかは、環境に応じて自動的に選択されます。

■ Tips006 W32TeXのパッケージを追加する(p.42-43)

(4) mktexlsrコマンドを実行します。

mktexlsrは、インストールされているファイルの索引をあらかじめ作成しておくことでファイルの検索速度を向上させるコマンドです。逆に言えば、mktexlsrコマンドによる索引の更新を忘れると、インストールしたはずのファイルが見つからない、などのトラブルが発生することになります。

W32TeXではmktexlsrを使用しない状態でも充分な性能が得られるため、「mktexlsrは全く使用しないことが推奨」されているとのことです。既に一度でもmktexlsrを実行した場合には、次のいずれかの対応を行ってください。

  1. 今後もmktexlsrを使用する
    mktexlsrを使い続けても問題はありません。但し、TeX関連のファイルを変更した場合には、必ず毎回mktexlsrコマンドを実行してください。
  2. ls-Rファイルを削除し、以降mktexlsrは使わない
    今後mktexlsrを使用しない場合には、「\W32TeX\share\texmf」と「\W32TeX\share\texmf-local」フォルダ(ディレクトリ)にある「ls-R」というファイルを削除してください。

■ Tips015 Windowsでのプレビューと印刷(p.70)

表示中にCTRL+Nを押すか……最新の内容に表示を更新することができます。

再読み込み・再表示は(デフォルトでは)自動で行われます。

「Option」→「Setup Parameters...」→「System」タブ→「Auto Renew」がチェックされていると(デフォルト)、dvioutのWindowが非アクティブからアクティブに変わったときにDVIファイルが更新されているかどうかをチェックします。必要であれば再読み込み・再表示が行われます。

さらに、「Option」→「Continuous Renew」がチェックされていると、0.5秒毎にDVIファイルの更新がチェックされます。「DVIファイルを作成
するのと別のパソコンでdvioutを立ち上げて表示を行い,表示を行うパソコンにDVIファイルを送」るような使い方もできるそうです。

PostScript機能に依存するコマンド(例えば\scalebox)を利用した場合、正しい結果が表示されないことがあります。

大島氏によると、そのような事例は確認されていないそうです。手元でも再現できる例が見つかりませんので、私(なかはし)の思い込みだったかもしれません(すみません)。万一そのような現象が発生した場合、私もしくは大島氏までご一報ください。

なお、「正しくないEPSファイルは多く存在します。その場合dvipsでは OK,dvioutやdvipdfmxではおかしくなる、という例を聞いたことがあります」とのことです。

■ Tips020 Windowsでコマンドプロンプトを使わずに作業する(p.75-76)

■数学記号などのコマンドを簡単に入力する

dvioutにもTeXのコマンド入力を支援する機能があります。

メニューから「Help」→「Help TeX」を選択するとコマンドや記号の一覧が表示されますので、必要なものをクリックしてください。対応するコマンドがクリップボードにコピーされますので、それをエディタに貼り付けます。また、2005年12月7日時点でのテスト版(Ver. 3.17.3)では、Ctrlキーを押しながらクリックすることで、コマンドがエディタに直接入力されます。

この一覧はdviファイルで、全部で9ページあります。オリジナルのTeXソースが「\dviout\HyperTex\input.tex」にありますので、自分でカスタマイズすることもできます。

[誤] 「DVIView」と常に新しい dviout が起動されます。
[正] 「DVIView」を実行すると常に新しいdvioutが起動されます。

「オプション」→「主なTeX関連プログラムの設定」で「DVIView」を選択し、「コマンドライン」を「-1 "%s.dvi"」のように書き換えると、dvioutが複数個起動するのを止めることができます。

奥村氏のTeX Wikiには、WinShellとdvioutの連携について、さらに詳しい解説が掲載されています。

ニコニコマークまた、dvioutにもPDFを出力する機能があります。ツールバーの「ニコニコマーク(右図)」をクリックすると、用紙サイズ、縦置き/横置き、印刷位置の調整(DVI原点の調整)、ページ範囲など、dviout上での作業状況を反映した形でdvipdfm(x)が実行されます。

この機能は「Tips117 PDFの用紙サイズをLaTeXの用紙サイズと一致させる(p.238)」の代わりにもなります。

ツールバーに「ニコニコマーク」が無い時は、メニューから「View」→「Change Tool Buttons」を実行してみてください。

■ graphicxパッケージ(p.127)

dvioutオプションで出力したdviファイルは、xdviでは正常にプレビューできません。

graphicxのdvioutオプションはdvipsオプションの上位互換です。EPS画像のみを使用していれば、dvioutオプション付きで処理したdviファイルもxdviなどで正しくプレビューできます。

もちろん、dvioutによる拡張(PNG, JPEGなどのサポート)を利用している場合には、プレビューにもdvioutが必要です。

■ Tips324 LaTeXの数式をPowerPointに貼り付ける(p.525)

dvioutの画面切り出し機能を使い、LaTeXの数式をPowerPointなどのWindowsアプリケーションに貼り付けることができます。手順は以下の通りです。

  1. メニューから「Display」→「Region」→「ON」を実行します。
  2. 貼り付けたい範囲の左上でShift+左クリックします。
  3. 貼り付けたい範囲の右下でShift+右クリックします。
  4. 「File」→「Save as image」→「EMF in clipboard」を実行します。
  5. PowerPointなどで「貼り付け(ペースト)」を実行します。

あらかじめTrueType版のComputer Modernフォントをインストールしておけば、拡大・縮小しても文字がギザギザになりません。大島氏のサイトにある「Windows95/98/Me/NT/2000/XPにおけるdvioutのインストール」の手順に従い、Bakomaフォントをインストールするといいでしょう。なお、インストール後、「Option」→「Setup Parameters...」で「DVIOUTのプロパティ」ダイアログを表示し、「Font2」タブの「Flush」ボタンを押してください(この操作を行わないと、以前に自動作成されたビットマップフォントが優先的に利用されてしまいます)。ビットマップフォントが保存されているフォルダ(\W32TeX\share\texmf\fonts\pk)は削除しても構いません。

奥村氏のTeX Wikiにも同様の解説があります。

■ Tips115 両面二つ折り製本できるようにページを並べ替える(p.235)

dvioutでもpsbookなどと同様(あるいはそれ以上)の操作を行えます。印刷設定のダイアログボックスで「Option」ボタンを押してみてください。