歪曲劇場

47氏タイーホ

Winnyの作者である47氏がタイーホされてしまった。当然のように、現在2ch周辺はお祭り中。

容疑は著作権法違反の幇助ということになっている。Winnyが著作権侵害行為に使われていることを知りながら開発・配付を続けたことが、違法行為の幇助にあたる、ということらしい。

しかし、そうだとしたら、健康への悪影響が科学的に立証されつつも販売を続けるタバコメーカや、速度超過とそれに起因する交通事故が多発することを知りながら「より速く走る車」を売り続ける自動車メーカだって、随分悪質だ。まあタバコを吸うことは合法だし、速度違反だって微罪だけれど、(金銭授受の伴わない)違法コピーだって微罪だって言うのも、まあ世間の常識である(少なくとも命に関わることはない)。

現行の著作権法は、海賊版業者の取り締まりのために存在しているといっていい。個人が行う複製行為は大抵の場合合法とされていたし、違法といえる場合でも見逃されてきた。現在著作権者の一翼たるアーティスト達だって、そのような隙間のなかで多くの音楽や映画に触れてきたはずだし、それゆえに音楽や映画を育てたとも言えるはずだ。

確かにデジタルコンテンツのコピーは手軽だし、それゆえに流通量が半端じゃないという言い分も、わからいではない。しかし、P2Pによる違法コピーが音楽・映像作品の売り上げを阻害しているという言い分は、あくまでレコード会社の希望的観測であるし、そもそも全くの逆、という可能性すらある。

というのも、自身の経験で言って、P2Pの普及以降、音楽・映像商品を購入する機会が大幅に増えたからだ。もしタダでなかったら観なかった、あるいは聴かなかったような作品が予想外に面白くて、そこに消費行動が発生する、ということは良くあることだ。つまり、P2Pによる違法な配信にも、場合によっては経済的なメリットが生じている可能性がある。P2Pは第4のマスメディアなのだ(そういえば、昔はテレビで映画作品を放送することに対してさえ執拗な抵抗があった、と聞く)。

現在のWinnyの盛況を生み出した責任が47氏にあるかといえば、もちろん大アリだ。けれどもそれはWinny自体の違法性、ひいてはこれからの著作権制度のあり方という視点から問われるべきであって、そのための社会的議論と合意形成を省略した今回の逮捕は軽率であったと思う。まあ、警察・検察にそのような役割を求めることは間違いなのかもしれないが。

もうひとつ重要なことがある。今回の逮捕事由によれば、匿名での活動を可能にするシステム一般について「犯罪の幇助」と捉えることが可能だ(匿名性が犯罪と紙一重であることは、もちろん容易にに予見可能である)。しかしながら、匿名性は社会的弱者にとって唯一最後の武器でもある。ビバ匿名。名無しさんに愛を。

posted at 00:51:42 on 2004-05-11 by ichiro - Category: 時事

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